ミステリーが大好きで。
とりわけクローズド・サークルと言われる限定された空間が舞台の推理小説が大好きだったのだけれども、携帯電話が出てきたあたりから雲行きが怪しくなってしまった。
それでも最初のうちは「電波が届かない」とか何とか言って、閉鎖空間を何とか作ることもできたけど、最近ではほとんどの地域で電波が届く。
無人島で電波が届かないと今更言われても、なんとなくピンと来なくなってしまった。
そんなこんなで。
クローズド・サークルも終わったな……。
なんて思っていたら。
Amazon.co.jpから「Kindle日替わりセール」の案内が来た。その日のセール対象作品は市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」。
タイトルしか知らなかったので、さっそくAmazon.co.jpにアクセスして内容をチェックしてみると。
ま、まさかのクローズド・サークル! しかも
新時代の『そして誰もいなくなった』登場!
ってコピーがまぶしすぎる!!
もちろん、すぐさまポチった。
Kindleの端末にクローズド・サークルの作品がダウンロードされたと思ったら、まだ読み始めてもいないというのに、妙にテンションが上がってしまって
そういえば、昔読んだあれとか、これとか、それとか、面白かったなぁ。
と頭の中をその手の作品がグルグル駆け巡ってしまう事態に(笑)
どれだけ読みたかったんだよ、と自分で自分にあきれつつ、せっかくなんで頭の中に浮かんだあれやこれやのクローズド・サークル&密室もののオススメを紹介してみることにするよ。
目次
クローズド・サークル&密室ものオススメ
有栖川有栖の「学生アリスシリーズ」
作者は有栖川有栖さん。シリーズ作品の語り手もそのまま有栖川有栖(通称アリス)で少しばかりややこしい(?)。
京都の私立大学である英都大学の推理小説研究会のメンバーが遭遇する数々の事件をシリーズ化したもので、短編をのぞいて
シリーズ作品はすべてクローズド・サークル物。
現段階で出版されている長編は
- 月光ゲーム―Yの悲劇’88
- 孤島パズル
- 双頭の悪魔
- 女王国の城 上巻・下巻
の4作品。
中でも一番のオススメは有栖川有栖さんのデビュー作にして、学生アリスシリーズ第1作目となるこれ。
アリスたち一行が山中の元キャンプ場でキャンプをしていると、突然山が噴火。麓への道をたたれてしまった中で起きる殺人事件。そして、降り注ぐ火山弾。
たいていのクローズド・サークル物は誰とも知れぬ犯人に対する恐怖がメインになるものなんだけど、この作品ではそこに火山の噴火という自然の驚異が加わって、緊迫の度合いがさらに増している。
細かな突っ込みどころもあるが、デビュー作ならではの勢いにあふれた作品。
綾辻行人の「館シリーズ」
密室ものといえば、綾辻行人さんの「館シリーズ」は鉄板中の鉄板。シリーズは10作品で完結予定で、現在までに9作品が出版されている。
- 十角館の殺人
- 水車館の殺人
- 迷路館の殺人
- 人形館の殺人
- 時計館の殺人
- 黒猫館の殺人
- 暗黒館の殺人
- びっくり館の殺人
- 奇面館の殺人
9作品すべてを読んでいるが、ざっくり言うならば、古い作品のほうが面白いものが多い印象がある。なので、読むなら1作目からがオススメ。
シリーズ第1作目の「十角館の殺人」は1987年に出版されていて、新本格ブームを巻き起こしたとも言われている。
インシテミル/米澤穂信
実は米澤穂信さんの作品とはあまり相性が良くない。
話題になっているからと読んでみても
「うーん、そっか……」
で終わることも多いのだけれども、この「インシテミル」だけは例外。謎うんぬんよりも、クローズド・サークルならではのドキドキ感が堪能できる作品。
怪しげなアルバイト募集にさそわれて山間にある施設にやってきた12人の男女。モニターとして「暗鬼館」の地下に7日間とじこめられることになるのだが……。
すべてがFになる/森博嗣
とにかくインパクトの強い作品。
武井咲と綾野剛でドラマ化もされたけれど、本だと頭の中でイメージが勝手にどんどん膨らむから、ドラマの比じゃないくらいの強烈な印象。
物語が始まって少しすると登場する死体。両手両足を切断された上に花嫁衣装を身にまとい……さらにはワゴンの上に乗せられて、そのワゴンがコンピューター制御で自走までしてしまうという、もうこれでもかってくらいの状況。
主人公のひとりである西之園萌絵の天然キャラと、もうひとりの主人公の犀川創平の中途半端なクールキャラが、物語がシビアになりすぎるのを防いでいて、思いのほか読後感は爽やか。
扉は閉ざされたまま/石持浅海
石持浅海さんの作品は「ギャー!」と来るような怖さではなく「ゾワゾワッ」とする人間心理に根ざした怖さがある。
本書は、密室殺人を決行した犯人視点で描かれるいわゆる倒叙ミステリー。
大学の同窓会で館に集まった7人の旧友たち。そこで行われた殺人は、計画通りに成功したかに見えたのだけれども、唯一事件に疑問を抱く女性がいて。
じわじわと追い詰められる犯人と女性との緊迫したやりとりにハラハラしつつもゾワッとする密室作品。
密室の鍵貸します/東川篤哉
「謎解きはディナーのあとで」が有名な東川篤哉さんの作品。
ユーモアと本格ミステリを融合させた作風が大好きで、かなりはまった時期がある。中でも貧乏学生の戸村流平とへっぽこ探偵の鵜飼杜夫が活躍する「烏賊川市シリーズ」が大好きで「謎解き……」より面白いと思っている。
「密室の鍵貸します」は記念すべきシリーズ第1作目となる作品。
死体と一緒に密室に閉じ込められてしまった流平。普通に考えるならば犯人は流平しかいないのだが……。絶対絶命のピンチをどう逃げ切るのか。
普通の密室とはちょっと違った角度の物語展開なのだけれども、一応密室は密室(のはず(笑))。
星降り山荘の殺人/倉知淳
クローズド・サークルというと必ずと言っていいほど名前のあがる作品。
交通が遮断され、電気も電話も通じていない雪に閉ざされた山荘……って、設定がベタすぎて逆に期待しかないのだけれども(笑)
ただ、アタシの期待がむやみやたらと高すぎたようで、世間で名作とまで言われる作品なのに「そ、そうか?」と頭の中には?マークが浮かんでしまったことは、あまり大きな声では言えないけれど本当の話。
そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ
市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」に「新時代の『そして誰もいなくなった』登場!」のキャッチコピーを見つけて、思いっきりテンションが上がったのは、やはりこの作品を読んでいたから。
クローズド・サークルの原点とも言える古典的作品なので、ミステリー好きなら読んでおいて損のない1冊。
まとめ
もっといろいろと読んでいたはずなのだけれども、いざとなると思い出せないのはアタシの記憶力のせいなのか、はたまたきっちりと記録をつけていなかったからなのか。
おすすめミステリベスト50選!みたない記事を書いてるブロガーさんって、どんだけ記憶力がいいんだろう。
以上、実際に読んだ作品だけ!密室&クローズドサークルのおすすめ全9作品プラスアルファのご紹介でした。
ではでは。